あいさつ

田沼代表

第二次世界大戦後、人々は厳しい暮らしのなか、懸命に働き、日本を復興へと導きました。そんな人々や社会を克明に記録し、活躍したのが私たちの先輩写真家たちでした。彼らは戦後のメディアのビジュアル化に貢献した中心的な存在として数々の名作を発表し、社会と写真の結合に尽力し、時代の目撃者として写真に残すことに全精力を注ぎました。
これらの写真家はすでに現役を引退するか亡くなられています。遺族には、残された写真原板(フィルム)を保存するには限界があり、貴重な記録が散逸の危機に瀕しています。写真は、科学の進歩により見えるものはほとんど撮ることはできますが、過去を撮ることはできないのです。
社会を、そして時代を写し撮った写真は年月を経るほど貴重な存在になることは、明治、大正を写し撮った過去の写真により立証されています。
私たち公益社団法人日本写真家協会(JPS)は写真界の皆様と協力して残された写真原板の保存、活用のための機関を設立すべく、2006年、文化庁に「時代を記録した写真原板の散逸を防ぎ、保存管理、活用を図るアーカイブの設立」を要望しました。幸い、2007年度から文化庁予算による「我が国の写真フィルムの保存・活用を図るための調査研究」を始め、物故写真家の写真フィルムの保存状況を調査し、ビネガーシンドローム等の劣化問題を公表し、衝撃的な反響を呼びました。
世界に誇る写真王国日本に「写真保存センター」を創設し、歴史的、文化的に貴重な写真原板を後世に残すことは、われわれ写真人の責務と感じております。写真を愛する方々が一人でも多く設立に賛同し、引き続き、ご支援下さるよう、ご協力をお願いいたします。

日本写真保存センター 代表
田沼武能