あいさつ

日本写真保存センターは2001年に公益社団法人日本写真家協会元会長、故・田沼武能が「写真原板の保存の必要性」を提唱し、2006年に「日本写真保存センター設立推進同盟」を立ち上げて文化庁に設立要望書を提出、翌2007年より文化庁の調査研究の委嘱事業が始まりました。                               写真原板であるフィルムの収集、保存を目的とした我が国唯一の事業です。その後、文化庁の委嘱事業として途切れなく継続するとともに、2009年からは公開データベースの更新を進めてきました。その後、デジタル化が進むとともに公開を進めて、文化資料の利活用に邁進しています。
フィルム原板は彫刻でいうならば石膏原型であり、ブロンズ像がプリントであるようにフィルム原板が貴重な役割になると考えます。
デジタルカメラが普及した現在、フィルムは減少し過去の時代を知るための貴重な資料となりつつあります。またフィルム原板からのデジタル化をするということは、デジタルカメラで撮影をするよりも事実に近い表現の定着にもなりますので、後世に伝えていくために必要なフィルムの価値は再評価されていくことでしょう。
私たち公益社団法人日本写真家協会(JPS)は写真界の皆様と協力して、収集・保存・活用の取り組みを行ってきました。これら歴史的、文化的に貴重な写真原板を後世に残すことは、写真人の責務と感じており、今後とも写真を愛する方々が一人でも多く設立の趣旨に賛同し、引き続き、ご支援下さるよう、ご協力をお願いいたします。

日本写真保存センター 代表
髙村 達

運営

「日本写真保存センター」の管理・運営は、公益社団法人日本写真家協会(以下、JPS)が行っています。
JPSが「日本写真保存センター」構想を提案し、2006年3月に『日本写真保存センター設立推進連盟』が発足しました。2007年から文化庁の委託事業として、調査・収集活動を行っています。

活動資金につきましては、文化庁の調査研究費「文化関係資料のアーカイブ構築に関する調査研究」と、JPSの基金、及び「日本写真保存センター」の支援組織の会費および寄付金で運営しています。また、写真原板の保存に対する関心をお持ちの方々からの募金および寄付金が活動資金です。

人員構成については、写真原板についての保存や資料整理などの専門知識を有した調査員のほかに、有志のボランティアと事務員によって常時5~6名がたずさわっています。この他に運営するための専門委員として諮問・調査委員会があり、「日本写真保存センター」の活動方針に従って活動しています。

沿革

2021.4 更新

  • 2001年
    • 5月24日、日本写真家協会会長田沼武能が社団法人設立祝賀会で、物故写真家の「写真原板の保存の必要性」を提唱する。協会内に設立基金を設ける。
  • 2006年
    • 3月14日、「日本写真保存センター」設立発起人会を開き「日本写真保存センター設立推進連盟」を設立。代表に森山眞弓、副代表に田沼武能が就任
    • 5月25日、文化庁に「日本写真保存センター」設立要望書を提出
    • 12月20日、文化庁は平成19年度委嘱事業として「我が国の写真フィルムの保存・活用に関する調査研究」の予算化を決定
    • 「日本写真保存センター」の諮問委員として、写真や美術に関わる専門家や保存科学、マスコミ等の分野から約20名の委員を選出
  • 2007年
    • 4月11日より「日本写真保存センター」の活動を本格的に開始
    • 原板や写真資料を保存しているフランス、アメリカの施設の実態を調査
  • 2008年
    • 「我が国の写真フイルムの保存・活用に関する調査研究」の活動をまとめた報告書を文化庁に提出
  • 2009年
    • 6月、初めての写真原板収集(借用)
  • 2010年
    • 初めて他館が所蔵する写真原板を借用しての調査を開始
    • 収集した写真原板を低温低湿度環境にて保存を開始
    • 5月18日、文化庁は相模原の東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館にある収蔵棟の一部(500㎡)を「日本写真保存センター」に貸与することについて、東京国立近代美術館との協議を開始
    • webサイトの立ち上げ
  • 2011年
    • 1月、文化庁より平成23年度から「文化関係資料のアーカイブ構築に関する調査研究」に発展させ、原板の収蔵に係る経費(収蔵庫経費等)の増額が承認される
    • 3月 1日~27日、JCIIフォトサロンで「ときを刻んだ写真―保存が望まれるフィルム」展を開催
    • 3月 5日シンポジウム「なぜフィルムの保存が必要か」を開催
    • 10月、JCIIビル4階を借用し保存センターの作業室の拡充
    • 同月、凸版印刷の画像検索システム「MuseScope」を使って実証実験を開始
  • 2012年
    • 5月31日、文化庁と「独立行政法人国立美術館フィルムセンター相模原分館の一部使用に関する覚書」を取り交わす
    • 6月、画像検索システムを「MuseScope」から総合データベースシステムの「SAI-CHI」に変更し、利便性と機能強化を図りアーカイブ化に向けて運用を計画
    • 10月 4日、写真原板8,901本を、相模原フィルムセンター映画保存棟の103号室(125㎡)に初めて収蔵
  • 2013年
    • 1945~1970年までだった第1期の収集対象を、戦前~1970年までに拡大
    • 1月25日、JCIIビル6Fでセミナー「なぜ写真フィルムの保存を急ぐ必要があるのか」を開催、聴講に117名が参加
    • 2月 6日、page2013イベントでセミナー「写真データベースの閲覧と検索」を池袋サンシャインシティー文化会館で開催、聴講者114名が参加
    • 3月、キヤノン(株)、(株)ニコン、富士フイルム(株) 3社が幹事社となって、写真保存センターの支援組織を設け、活動資金に協力することを決定
    • 7月18日、相模原フィルムセンターに、第2回目となる写真原板9,928本を収蔵
    • 9月 6日、原爆長崎を撮った山端庸介のオリジナルフィルム68コマを含む、複製ガラス乾板133点を遺族から寄託
    • 11月 5日、「日本写真保存センター」設立推進連盟の代表を細田博之衆議院議員(当時:自民党幹事長代行)にお願いする。代表の森山眞弓(日本カメラ財団理事長)が最高顧問に就任
    • 11月14日、相模原フィルムセンターに第3回目となる写真原板5,211点を収蔵
  • 2014年
    • 画像検索システムに続き、「SAI-CHI」での管理用データベースの構築を計画
    • 2月 5日、page2014オープンイベント「写真フィルムを長期保存するには・・・-無酸・中性紙の包材を前にして-」を、池袋サンシャインシティ文化会館で開催、聴講に173名が参加
    • ガラス乾板用包材およびマウント済みカラーフィルムを収蔵するための包材を決定
    • 5月 8日、第1回支援組織会議を開催。幹事社のキヤノン(株)、(株)ニコン、富士フイルムイメージングシステムズ(株)に加え、新たに(株)アイデム、エ プソン販売(株)、(株)キタムラ、(株)シグマ、(株)写真弘社、(株)タムロン、(株)フレームマン、光村印刷(株)の11社が参加
    • 6月12日、相模原フィルムセンターに第4回目入庫となる写真原板13,430本を収蔵
    • 9月25日、1938年から内閣情報局が編集・刊行した国策グラフ雑誌『写真週報』に使用された写真原板(内閣情報局写真協会が撮影)5,682本が東京都写真美術館から委譲
    • 10月16日、相模原フィルムセンターに第5回目入庫となる5,146本を収蔵
    • 広報活動が実り、写真機材メーカーから機器に関する実験依頼、美術館から収蔵方法の視察、新聞取材など多数
  • 2015年
    • 1月30日、凸版印刷(株)が「日本写真保存センター」支援組織会員となる。支援組織会員は合計12社になる。「SAI-CHI」で管理用データベースの完成。閲覧用データベース構築を行う。
    • 2月 4日、page2015にてオープンセミナー「いまは写せても、過去を撮ることはできない」を、池袋サンシャインシティ文化会館にて開催
    • 3月 5日、相模原フィルムセンターに、第6回目入庫となる5,603本を収蔵
    • 4月、オリンパスイメージング(株)、一般社団法人写真著作権協会が「日本写真保存センター」支援組織会員となる。支援組織会員は合計14社になる。
    • 6月25日、相模原フィルムセンターに第7回目入庫となる2,441本を収蔵
    • 8月4日~30日、写真展「知っていますか…ヒロシマ・ナガサキの原子爆弾」を開催
    • 8月 講演会「ヒロシマからの出発」、8月8日「記録の重み―被爆直後を撮影したフィルムの保存を」を開催
    • 11月12日、相模原フィルムセンターに第8回目入庫となる4,769本を収蔵
  • 2016年
    • 1月19日、木村伊兵衛氏の写真原板を受け入れ
    • 2月3日、page2016オープンセミナー「写真原板のデジタルアーカイブの現在」を池袋サンシャインシティ文化会館(東京)で開催
    • 2月25日~28日、CP+にて、写真展「ヒロシマ・ナガサキの原子爆弾 被曝から70年」を、みなとみらいギャラリー(神奈川)で開催
    • 3月24日・26日、文化庁主催シンポジウム「文化資料アーカイブ入門~将来の芸術文化の発展に向けて~」で事例紹介
    • 6月16日、相模原フィルムセンターに第9回目入庫となる1,283本を収蔵
    • 10月27日~11月9日、写真展「渡辺義雄の眼 伊勢神宮・イタリア・モスクワ」をポートレートギャラリー(東京)で開催
    • 11月17日、相模原フィルムセンターに第10回目入庫となる2,767本を収蔵
    • 11月24日~30日、写真展「渡辺義雄の眼 伊勢神宮・イタリア・モスクワ」 展を、大阪ニコンサロンで開催
    • 12月14日、写真原板データベースの公開を開始
  • 2017年
    • 2月8日、page2017オープンイベント「時代を記録した写真原板に光を! ―眠っていた写真原板を目覚めさせ、活用しよう―」セミナーを、池袋サンシャインシティ文化会館(東京)で開催
    • 3月16日、相模原フィルムセンターに第11回目入庫となる1,213本を収蔵
    • 5月19日、岩波文化財写真原板を受入れ
    • 6月16日、相模原フィルムセンターに第12回目入庫となる915本を収蔵
    • 8月25日、『岩波写真文庫』写真原板を受入れ
    • 10月20日、「写真フィルムを長期保存するには…講演と包材のデモンストレーション」セミナーを、メットライフ本町スクエア(大阪)で開催
    • 12月21日、相模原フィルムセンターに第13回目入庫となる5,915本を収蔵
    • 12月15日、笹本恒子氏の写真原板を受入れ
  • 2018年
    • 2月7日、page2018オープンイベント「劣化したフィルムへの対策」セミナーを、池袋サンシャインシティ文化会館(東京)で開催
    • 3月1~4日、CP+2018 「後世に遺したい写真」写真展を、横浜みなとみらいギャラリー(神奈川)で開催
    • 3月4日、CP+2018「過去から未来へのメッセージ-後世に遺したい写真」セミナー開催
    • 3月15日、相模原フィルムセンターに第14回目入庫となる2,399本を収蔵
    • 6月22日、国立映画アーカイブ相模原分館に第15回目入庫となる3,572本を収蔵
    • 10月25~11月24、「後世に残したい写真」-写真が物語る日本の原風景-を、光村グラフィック・ギャラリー(東京)で開催
    • 10月27日、講演会「残された写真から何を読み取るか」を、光村グラフィック・ギャラリー(東京)で開催
    • 11月29日、国立映画アーカイブ相模原分館に第16回目入庫となる6,013本を収蔵
  • 2019年
    • 1月15日 御徒町作業分室を開設
    • 2月7日、page2019オープンイベント「写真フィルムのデジタルアーカイブ―デジタル化による利用・検索の可能性」セミナーを、池袋サンシャインシティ文化会館(東京)で開催
    • 3月14日、国立映画アーカイブ相模原分館に第17回目入庫となる3,216本を収蔵
    • 6月13日、国立映画アーカイブ相模原分館に第18回目入庫となる2,879本を収蔵
    • 10月10日、ジャパンサーチとの連携を開始
    • 11月14日、国立映画アーカイブ相模原分館に第19回目入庫となる2,016本を収蔵
  •  2020
    • 2月5日、page2020オープンイベント「写真原板データベースとジャパンサーチの連携 ―写真原板のより広い利活用を目指してー」セミナーを、池袋サンシャインシティ文化会館(東京)で開催
    • 2月28日、国立映画アーカイブ相模原分館に第20回目入庫となる3,606本を収蔵
    • 6月11日、国立映画アーカイブ相模原分館に第21回目入庫となる1,605本を収蔵
    • 11月12日、国立映画アーカイブ相模原分館に第22回目入庫となる17,375本を収蔵
  •  2021
    • 3月11日、国立映画アーカイブ相模原分館に第23回目入庫となる2,443本を収蔵
    • 6月29日、国立映画アーカイブ相模原分館に第24回目入庫となる6,968本を収蔵
    • 10月14日、国立映画アーカイブ相模原分館に第25回目入庫となる8,728本を収蔵
  •  2022
    • 3月1日、国立映画アーカイブ相模原分館に第26回目入庫となる2,902本を収蔵
    • 6月8日、国立映画アーカイブ相模原分館に第26回目入庫となる8,561本を収蔵

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