収集基準
収集基準は、わが国の歴史的・文化的に重要とされる出来事や、日本人の暮らしや風習、習俗や景観などを色濃く捉えたものを主としています。これまでに、地域文化の記録や時代の証言であるドキュメントや、芸術的表現としての写真作品の原板まで広範囲のものを対象とし、約30万本を収集し、保存処置やアーカイブ化を行っています。
収集対象の撮影者はプロフェッショナルの写真家に限らず、アマチュア写真家を含むすべての人を対象としています。収集原板の撮影時期については、1945年から1970年のものを第一期とし、1970年以降及び1945年以前の写真原板を第二期として収集していています。
収集整理の原則として、これまでに写真集や逐次刊行物などの印刷媒体等で公表されているものを対象の中心としています。
収集手順
収集にあたっては、写真関係者ならびに美術館学芸員、メディア関係者、法律家などによって組織された調査委員会が、収集方針や対象などについて検討し、重点収集作家やテーマや、年代を決定しています。
収集委員会で決定した方針にのっとって、収集対象に該当する原板を所有する写真家本人やご遺族(著作権者)等と話し合い、写真原板の保管・保存状況をはじめ、撮影日時や被写体内容などを事前調査しています。これらの手順を経たうえで、対象原板の所有者と収集のための寄贈または寄託の契約を交わします。
権利処理
収集にあたっては、遺族や著作権継承者と写真原板の契約や利用方法などについて、事前に打合せを行い、合意が得られた上で写真原板の寄贈か、寄託かについて契約書を交わし収集を行います。
日本写真保存センターでは、写真原板は原則として寄贈を推奨しています。寄託については期間を設定し、満了後は寄贈していただくことを勧めています。なぜ寄贈かといえば、利活用する上での権利処理が具体的かつ明確化できるからです。さらに収蔵には多大な経費がかかるため、その経費負担をどうするかといった問題が生じるからです。