写真原板が収蔵されるまで
日本写真保存センターでは、以下のように写真原板の受け入れから収蔵までを行っています。
1訪問調査>2契約と収集>3 初期調査> 4 保存処置> 5 デジタル化> 6 収蔵
1 訪問調査
現況調査では写真家やご遺族のもとへうかがい、保管状況や劣化状態を確認します。次に、写真原板の今後の処遇について所有者とご相談の上で、写真原板の収集基準を満たしているものであれば、受け入れを行います。
2 契約と収集
契約には「寄贈」と「寄託」の二種類があります。この契約では保存とデータベース作成に必要な権利についての契約を交わします。収集した資料は調査・作業のため、日本写真保存センター作業室へ送られます。
3 初期調査
まず全体の状態を把握するため初期調査を行います。初期調査では、写真原板の内容と詳細な数量、劣化の状態を確認します。この時にA-Dストリップという試験片でビネガーシンドロームの進行度の調査をします。ビネガーシンドロームは酢酸臭を伴う劣化の総称ですが、臭いだけでは劣化の進行度が判らないためです。
4 保存処置
初期調査の結果を元に、劣化の著しい原板を隔離します。これは、激しい劣化を起こした原板は、他の原板に悪影響を与える恐れがあるためです。劣化が進んでいない写真原板は、ドライクリーニング(ブロアでのゴミとり、乾いた布でぬぐう、など)の後、中性紙製の新しい包材へ交換をします。
5 デジタル化
写真原板(フィルム)のコンタクト画像をスキャンします。包材(ネガカバー)に書かれているメモ等も、記録のためにスキャンします。撮影者や写真原板に関する文字情報をデータべースに入力します。
6 収蔵
収蔵する際、再度ビネガーシンドロームの進行度の確認を行います。
進行度を確認後、劣化が進んでいないことを確認したものは国立映画アーカイブ相模原フィルム収蔵庫 (室温10℃ 相対湿度40%)へ収蔵します。