よくある質問

| 日本写真保存センターについて | 運営について | 収集について |
デジタル化について保存について | 権利について | 利活用について | 写真原板データベースについて |

日本写真保存センターについて

Q:海外には、日本写真保存センターと類似の機関はあるのでしょうか?
A:あります。例えば、フランスには文化省所管の写真保存センター(Mediatheque Patrimoniale Archive Photographique)があり、1851年以降の「写真ガラス原板」を保存し、活用しています。ル・グレイ、ナダールやアッジェ、ラルティーグ、ケルテスなど日本でも知られている写真家の写真原板が数百万点も収蔵されています。アメリカでは議会図書館(Library of Congress)や国立公文書館(National Archives and Record Service)などがあります。アメリカはインターネットを通じた公開活用も意欲的です。
その他、オランダ、イギリス、ドイツ、カナダ、ロシアなど欧米圏には自国の歴史を伝えるためのアーカイブがあります。

運営について

Q:誰が運営しているのですか?
A:文化庁から公益社団法人日本写真家協会が調査研究の委嘱を受け、写真関係の学識経験者を中心に収集、調査、保存、データベース化を行っています。公的機関としての設立をめざして、意義に賛同する有識者が推進連盟を結成し設立運動を進めています。

Q:日本写真保存センターで仕事をするのはどのような人たちですか?
A:一般事務員のほか、専門職員として写真の収集整理、保存科学およびデジタル技術に係る3つの分野で実務を担当する職員を配置しています。

収集について

Q:写真原板とは何ですか?
A:写真原板とは、プリントのもととなる、湿板、ガラス乾板、写真フィルム(ネガ・ポジ)などの記録メディアを指します。撮影された瞬間の出来事を直接記録したものであり、トリミング、加工、編集などをされていないため、第一義的な記録資料と言えます。

Q:どのような写真原板を収集するのですか?
A:「時代を色濃く記録した写真」を中心に、幕末・明治期のガラス乾板から、戦後を代表する写真家の作品まで幅広く、写真原板を収集しています。

Q:保存センターでは「時代を色濃く記録した写真」を収集・保存すると聞いていますが、ドキュメント、学術用資料写真等は、対象になりますか?
A:対象になります。「時代を色濃く記録した写真」というのは、目安として利活用の頻度が高いと考えられるものを積極的に集めようとするもので、撮影対象を限定するものではありません。

Q:収集する写真家は、どのような基準で選びますか?
A:プロフェッショナル、アマチュアを問わず、記録的価値のある写真原板を、歴史や美術、新聞雑誌、写真に造詣のある有識者による収集委員会で収集基準を決めて行なっております。

Q:買い取って欲しいと思っていますが、どうでしょうか?
A:「写真原板」の収集は寄贈を原則とさせて頂いております。寄託の制度も設けておりますがこれはあくまで一時的な保管となります。

デジタル化について

Q:フィルムがデジタル化(電子化)された場合、ウェブ上で公開されるのでしょうか?
A:はい、調査が完了したコマは、写真原板データベースで順次公開予定です。

保存について

Qどれくらいの量のフィルムを収集・保存するのでしょうか?また、コレクションは増え続けるのでしょうか?
A:手始めに1945年から1970年代までの写真を第1期として収集し、数十万点の「写真原板」をデジタルデータ化して利活用を目指します。次いで、1945年以前と1980年代以降のものへと順次拡大し、数百万点以上の「写真原板」を収集することを目標にしています。

Q:フィルムを自宅で保存する場合、どの様な点に注意すればよいでしょうか?
A:「写真原板」を長期に保存するには、保存環境が重要であり、またフィルムを収める袋や包装材料などを中性に近いものにする必要があります。保存には、温度 は21℃以下、相対湿度は15~40%RH以内で、通気性が良く、清浄な空気の環境が理想的ですが、日本の夏のように高温・高湿な気候条件では、一般家庭 での理想的環境の維持は難しいです。現実的な対策としては、低温の乾燥した日に直射日光を避けた清潔な環境で、風を通すと、劣化の進行を遅らせることがで きます。大切な写真フィルムほど、厳重に封をしてしまいこむ方がいらっしゃいますが、密閉すると放出されたガスの逃げ場がなくなり濃度が上がるため、劣化を促進しやすいです。

Q:劣化が進んだフィルムは、どうしたらよいのでしょう?
A:劣化がビネガーシンドロームによるものか、現像処理が悪いものか、保管や取扱いが悪くてカビやホコリ、キズなどによるダメージによるものかの劣化の原因を調べる必要があります。ビネガーシンドロームを発症した写真フィルムは、健常な写真フィルムに伝染しないよう隔離し、可能であれば複写、デュープ、スキャンなどで、別のメディアに画像を保存してください。ひどくビネガーシンドロームが進み画像が崩れきったフィルムを修復することは、現在では、ほぼ不可能と言われています。

Q:硝酸セルロースベースのフィルム(ナイトレートフィルム)はどのように保存するとよいのですか?
A:1953年まで製造された硝酸セルロースベースのフィルムは、密着した状態で高温多湿の環境に長期間置かれると、自然発火する恐れがあり、大変危険です。実際に被害にあわれた他館の例もあります。そのため通常の収蔵庫ではなく、特に低温(5℃以下)の部屋に収蔵すべきとされています。

権利について

Q:フィルムの所有権は、どのようになるのでしょうか?
A:ご寄贈いただいた「写真原板」は日本写真保存センターの所有物となります。

Q:写真の著作権は、どのようになるのでしょうか?
A:著作権に関しては、法の定める期間内において保護されます。著作者人格権は撮影者(著作権者)に残りますが、所有権と利活用の権利は日本写真保存センターのものとなります。

Q:フィルムがデジタル化された場合、著作権や所有権は、どのようになるのでしょうか?
A:「写真原板」をデジタル化しても、著作権は遺族と保存センターとの間で交わされた契約に基づいて処理され、著作者人格権が移動することはありません。今後、現在準備しているデータベース公開のときは安全に配慮いたします。デジタルデータの所有権は保存センターのものとなります。

Q:フィルムが日本写真保存センターに収集・保存された後、何かの理由でフィルムを返して頂きたい時には、返還して頂くことができますか?
A:可能です。原則、当センターでは寄贈をお願いしておりますが、特殊な場合には契約を交わす段階で寄託を選択していただくことも可能です。

写真原板データベースについて

Q:データベースにはどのような写真が掲載されているのですか?
A:当センターで収集し調査が完了したものを掲載しています。

Q:写真はどのような基準で公開されるのですか?
A:調査が終了した写真のうち、写真集や雑誌などへの掲載が確認された写真を公開しています。

Q:コマ画像を、フィルムの周辺まで表示しているのはなぜですか?
A:写真原板データベースでは、コマ画像を単に撮影画像としてではなく、あくまでも写真原板画像として表示しているためです。写真保存センターでは、写真原板に含まれるあらゆる情報を同時に記録しています。これには、原板の種類、製造工場、製造時期、作者の付けた管理番号、被写体の詳細、セレクトの有無などの情報が含まれていることがあります。

利活用について

Q:写真が出版物等に利用される場合の権利関係は、どのようになるのでしょうか?
A:寄贈を受けた「写真原板」については、遺族との間で交わされた契約により処理します。使用にあたっては、撮影者名の表記(氏名表示)を行います。

Q:フィルムの利用目的等が遺族にとって不本意な場合には、利用を止めることができますか?
A:遺族と交わした契約により処理されます。利用にあたって遺族が不本意な場合には、合理的な理由があれば契約そのものを破棄することもできます。

Q:活用とはどのようなことを指すのですか?
A:歴史的・文化的な写真を、新聞、雑誌、テレビなどの情報媒体が利用したいというときに貸出します。また、歴史家や学術関係者が論文や学校教育などで利用することなど、幅広い活用を考えております。

Q:活用の目的は何ですか?
A:うもれていた歴史的・文化的意義のある写真を再び利用できるようにし、将来にわたり有効に活用を行えるようにすることを目指しています。

Q:活用する写真は、原作者の意向(トリミングやプリントの状態など)は反映されるのですか?
A:画像をスキャニングする際はトリミングをせずにスキャニングをしますが、活用する際は原作者の意向(本や展示で発表した)に沿ったプリントを提供しています。

Q:活用したい人(機関)は、申し込めば自由に使えるのですか?
A:利用者は当センターの利活用規則に従って使用して頂きます。特段の理由がない限り利用を制限することはありません。

お問い合わせ先
公益社団法人日本写真家協会 日本写真保存センター
Email:info@jps.gr.jp

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